2018年11月28日水曜日

鍼灸師・河岸桜子(東方鍼灸院)

 「え、すごい、魔法みたい!!」東方鍼灸院にいるとこういう声がよく聞こえてきます。ただ王不留行という植物の種を貼るだけで瞬時にさっきまでの痛みが消え去り、凝り固まったところは柔らかくほぐれるからです。なので患者さんが驚くのも無理はありません。治療している私でさえ驚きの連続です。
 
 私が高校生の頃、家族が入院治療してもよくならなかった顔面麻痺を東方鍼灸院の治療を受ける度にみるみると回復して完治したときは本当に驚きました。病院で治らなかったものを治せる治療法があるんだ、鍼灸って凄いと。当時は鍼灸というものの概念を知らなかった上に、初めて触れた鍼灸が陰陽太極鍼、刺さない鍼だったため鍼灸は刺さないものと思っていました。なので刺すものと知った時は驚きと同時に刺さなくても良くなるのになぜ刺すのか不思議に思ったのを覚えています。

 それから専門学校に進学し、しっかりと刺す鍼灸を学びました。臨床実習で実際に患者さんに治療もしました。しかし大きな変化が出せず、またどう治療したらいいのか分からず戸惑うことも少なくありませんでした。そこで、刺さずにみるみると変化し治してしまうあの驚きをくれた陰陽太極鍼の技術を習得したく長期研修をお願いしました。

 そんな私も勤め始めて一年七カ月になります。そこで私が日々感じる陰陽太極鍼の魅力について書き出していこうと思います。まず最大の特徴である“刺さない”についてです。刺すのではなく、王不留行の種や皮内鍼を貼ります。貼る場所も患者さんが感じるくすぐったい、気持ちがいいなどの反応があるところです。

 貼るという皮膚刺激により経絡の流れが改善される為、硬さや痛みがすぐ変化します。患者さんがそこ!と言うところにピタっと貼れれば効果は絶大です。これが本当に不思議で、ばね指になって痛かった人が一回の治療で完治したり、四本足の杖がないと痛くて歩けなかった人が何回かの治療で杖もなしにスタスタ歩けるようになったりと貼るだけで面白いほどに効果が出るので皮膚感覚の重要さが実感できます。またすぐに痛かったのが改善し、硬かったのが柔らかくなったりと変化するので患者さんも施術者もお互いに効果を確かめられるのも魅力のひとつです。
 
 さらに考え方の理屈やコツが分かれば誰でもすぐに治療ができ、それでいて効果が出せること。これが本当に素晴らしいです。通常鍼灸は鍼灸師の感覚で治療が成り立つことがほとんどです。なので先生から技術を学ぼうと思ってもその人の感覚で治療しているので、全てをそっくり身につけることはとても困難で何より時間がかかります。しかし陰陽太極鍼は鍼灸師の感覚ではなく、患者さんの皮膚感覚によって治療します。なので習得するまでにさほど時間がかかりません。その上、効果が絶大です。

 私の臨床歴は一年七カ月とまだまだ新人と呼ばれるほど短いのに、今はどんな症状の患者さんが来ても焦ることなく治療に挑めます。これは他の鍼灸院では考えられないほど本当に凄いことで、こうなることができたのは陰陽太極鍼のおかげだと心から思っています。

 “鍼灸は事実の上に立ち 科学は事実を説明するのみ”

東方鍼灸院の治療室に飾ってある高木健太郎先生のサインで、私の好きな言葉です。日本は西洋医学が強く普及しており、それに比べ鍼灸は理解度が低く、疎遠にされがちです。鍼灸は痛い、熱いという印象や、経穴や経絡など目に見えないものを重要視するため、目に見えるものを扱う西洋医学に比べ理解がしにくいからでしょうか。

 陰陽太極鍼は皮膚に貼るだけなので尚更そうかもしれません。しかし、貼るだけで改善することは事実です。皮膚科学がまだ詳しく解明されていないだけ、陰陽太極鍼に科学が追いついていないだけで、最先端の治療法だと私は思います。そんな陰陽太極鍼を作り上げた院長は本当に凄い方です。その院長のそばで長期研修生としてじっくり学べている今の環境に感謝しています。